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アルツハイマー型認知症
  

【認知症の種類と特徴】
アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症の
主な症状や治療法とは?

認知症の中でも、とくに患者数が多いアルツハイマー型認知症。このアルツハイマー型認知症にはどのような特徴があり、何が原因で発症するのでしょうか。最新の治療法もまじえて解説していますので、参考にしてみてください。

アルツハイマー型認知症は脳がどうなっている状態?

アルツハイマー認知症の患者の脳は、どのような状態になっているのでしょうか。おもな特徴をまとめてみました。

海馬を中心に、側頭葉・頭頂葉の萎縮が見られる

アルツハイマー型認知症では、記憶を司る海馬の神経細胞が変性し、それを中心に側頭葉・頭頂葉でも萎縮が見られます。そのため、記憶障害や見当識障害が起こりやすくなります。
脳の萎縮は健康な脳でも起こりますが、アルツハイマー型認知症ではそれが顕著に見られるのが特徴です。

老人斑が増える

アルツハイマー型認知症の脳では、アミロイドβという異常たんぱく質が増えるのが大きな特徴。それが脳に蓄積することで見られるようになるのが、老人斑です。
老人斑は健常者の脳でも見られますが、アルツハイマー型認知症の老人斑は異常なくらいに大量であり、神経細胞の死滅が急速に広がります。

神経原繊維変化が起こる

アミロイドβは神経細胞外に蓄積しますが、神経細胞内にはタウたんぱく質という物質が蓄積します。このタウたんぱく質が神経細胞内で繊維状に蓄積することを、神経原繊維変化と呼びます。こちらも老人斑と同じく、神経細胞の機能障害・死滅を招くものです。

神経伝達物質が減少

神経細胞の間で情報のやり取りを担っている神経伝達物質。アルツハイマー型認知症の脳では、認知機能を保つアセチルコリンなどの神経伝達物質の減少が見られるようになり、それが記憶障害の進行につながっていると言われています。

アルツハイマー型認知症の典型的な症状は?

アルツハイマー型認知症の症状は、段階を経て慢性的に進行するのが特徴です。一般的には、老人斑が現れてから20年をかけてゆるやかに発症します。

発症前期(軽度認知障害)

本格的にアルツハイマー型認知症が発症する、10年以上前から見られることもあります。

  • 中核症状
    ・物忘れ
  • 周辺症状
    ・不安、抑うつなど

1期(初期)

発症から1~3年で見られるようになる症状です。

  • 中核症状
    ・記憶障害(新しいことを覚えておけなくなる近時記憶の障害)
    ・実行機能障害(日常的な行動の手順が分からなくなる)
    ・時間の見当識障害(日時がわからなくなる)
    ・判断力障害(瞬時に判断ができなくなる)
  • 周辺症状
    ・アパシー(やる気、自発性の低下)
    ・妄想(主に、物盗られ妄想)

2期(中期)

発症から5~9年で見られるようになる症状です。

  • 中核症状
    ・遠隔記憶(数年~数十年の間の記憶に障害が出る)
    ・場所、人物の見当識障害(今いる場所、相手が誰かを認識できない)
    ・失認(対象を認識できない)、失行(簡単な行為ができない)、失語(言語使用ができない)
  • 周辺症状
    ・鏡兆候(鏡に映った姿を自分と認識できない)
    ・徘徊、迷子
    ・興奮、多動など

3期(末期)(発症から10年~)

発症より10年以上経ってから見られるようになる症状です。

  • 中核症状
    ・記憶障害(記憶全般の障害)
    ・人格の変化
    ・失外套症候群(寝たきりで行動・発話がない)
  • 行動・心理症状
    ・不潔行為(便をさわるなど)

アルツハイマー型認知症の診断方法と治療方法は?

アルツハイマー型認知症が疑われたら医療機関で詳しい検査と診断、治療を受けることになりますが、具体的にはどのような方法が取られるのでしょうか。

検査・診断

認知症の診療では、まず本人とその家族をまじえて問診を行い、必要に応じて各種検査を行います。主な検査として挙げられるのは、神経心理学検査と画像検査です。

神経心理学検査とは、認知機能や実行機能などについて調べるテスト。改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やMMSE(ミニメンタルステート検査)などがあります。

画像検査は、頭部MRIやCTを用いて脳の萎縮や梗塞の有無を画像で調べるもの。脳の血流を調べるSPECTや、糖代謝を測定するPET検査が用いられることもあります。

治療

アルツハイマー型認知症の治療には、薬物療法とリハビリテーションがあります。

薬物療法では、ドネペジルなどの薬剤を使って中核症状の進行を抑えつつ、抑うつ・暴力・妄想といった周辺症状を軽減するための対症療法が行われます。

リハビリテーションでは、脳機能の低下を抑えるための取り組みを実施。計算・音読・運動療法・音楽療法など、さまざまな方法で脳を刺激し、機能の活性化を促します。

アルツハイマー型認知症が発症する主なリスク要因は?

ほとんどのアルツハイマー型認知症は孤発性であり、家族的な遺伝が見られるケースは全体の約1%ほどです。

ただ、孤発性のアルツハイマー型認知症の場合でも、遺伝子の影響は無視できません。アルツハイマー型認知症では脳にアミロイドβというたんぱく質が蓄積しますが、これに関与しているとされているのがAPOEというリスク遺伝子。
APOE遺伝子にはε(イプシロン)2、ε3、ε4がありますが、このうちのε4を持っている人は、アルツハイマー型認知症の発症が10年早まると言われています。

また、中年期以降の生活習慣病も、認知症発症のリスクを高めます。なかでも糖尿病・高血圧・脂質異常症との関連性が深いとされており、認知症は第三の生活習慣病と呼ばれることもあるのです。

とくに糖尿病の人はそうでない人に比べて、認知症の発症リスクが約2倍。血糖値をコントロールするホルモンにはインスリンがありますが、これにはアミロイドβを分解する働きもあります。
しかし糖尿病があるとこの働きが低下し、アミロイドβの蓄積が進行。老人斑の形成が進み、アルツハイマー型認知症のリスクが高まると言われています。

参考文献

広川慶裕 監修「もの忘れ・認知症が心配になったら読む本」(池田書店)(※書籍)

河野和彦 監修「ぜんぶわかる認知症の事典―4大認知症をわかりやすくビジュアル解説」(成美堂出版)(※書籍)

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記事監修

日本認知症学会
名誉会員
本間 昭 医師

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