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認知症の診断方法

様々な認知症の
診断・検査方法とは?

認知症が疑われる場合、どのような診断基準に基づいて診断がなされるのでしょうか。ここでは認知症の診断における基本のポイントと、問診・画像検査・神経心理学検査といった各種検査の概要をまとめてみました。

認知症の診断基準とは?

認知症の診断基準には、アメリカ精神医学会のDSM(精神障害の診断・統計マニュアル)や、世界保健機関(WHO)のICD(国際疾病分類)がよく用いられています。以下に、アメリカ精神医学会のDSM-5による診断基準をご紹介します。A、B、C、Dの4つの項目に当てはまる場合、認知症であると診断できます。

DSM-5による認知症診断基準(※1

  • A.1つ以上の認知領域(複雑性注意、実行機能、学習および記憶、言語、知覚-運動、社会的認知)において、以前の行動水準から有意な認知の低下があるという証拠が以下に基づいている。

    (1)本人、本人をよく知る情報提供者、または臨床家による、有意な認知機能の低下があったという懸念、および

    (2)可能であれば標準化された神経心理学的検査に記録された、それがなければ他の定量化された臨床的評価によって実証された認知行為の障害。

  • B.毎日の活動において、認知欠損が自立を阻害する(すなわち、最低限、請求書を支払う、内服薬を管理するなどの、複雑な手段的日常生活動作に援助を必要とする)。
  • C.その認知欠損は、せん妄の状態でのみ起こるものではない。
  • D.その認知欠損は、他の精神疾患によってうまく説明されない(例:うつ病、統合失調症)。

診察時の患者の容貌や態度からわかること

診察室に入る人の見た目や立ち居振る舞いの中には、診断の手掛かりとなるものが含まれていることもあります。これは画像検査以上に、重要な診断要素となっています。
診察室に入った人を医師がチェックするポイントは、姿勢・歩行・動きが多いか少ないか・身だしなみ・表情・視線・顔の腫れについてです。

前屈みでゆっくりと小刻みに歩くような行動が見られる場合は、レビー小体型認知症や進行性核上性麻痺が疑われます。左右のどちらかに体が不自然に傾いているのも、レビー小体型認知症の特徴のひとつです。

前頭側頭型認知症の場合は、能面のような無表情や独特の雰囲気のほか、無意識に目を大きく見開く「びっくり眼」が見られることもあります。医師の前で腕や足を組んだり、手や足を落ち着きなくさすり続けたり、許可を得ることなく勝手に診察室を出て行ってしまうといった行動も、前頭側頭型認知症の特徴のひとつとなっています。

アルツハイマー型認知症は、愛想よく挨拶をするなど、外見的には普通に見えるのが大きな特徴。顔に腫れぼったいような症状が見られるようなら、甲状腺機能低下症の可能性があります。

問診と身体から症状をチェック

認知症診断における問診は、本人だけでなく家族にも行われます。問診では、気になる症状や困りごと、家族歴、生活歴、症状が見られるようになった時期や経過などを聞き取ります。
問診でチェックされる内容は以下の通りです。

主訴

記憶障害、うつ、無気力、睡眠障害、幻覚や妄想、人格の変化など、もっとも気になる症状についてのヒアリングです。

背景

認知症やうつ病の人が家族の中にいるか、生活習慣病を持っているか、頭部を強く打ったことはあるか、飲酒の習慣はあるかどうかなどを聞き取ります。
また、料理や買い物、衣服の着脱といった日常動作ができるかどうかも確認されます。

経過

行動の異常に気づいた時期やキッカケ、これまでの症状の経過や変動、どのような記憶障害や妄想が見られるか、といった内容を聞かれます。
症状がゆっくり進行しているならアルツハイマー型認知症、変動が大きい場合はレビー小体型認知症が疑われます。

認知機能、神経学的徴候

言葉の理解度や、スムーズに発語ができるかといった状態をチェックします。
発語が流ちょうにできない場合は脳血管性認知症や進行性非流暢性失語、言葉の意味を理解せずにオウム返しにする場合は、意味性認知症が疑われます。

これらの問診に加え、診察では身体症状もチェック。ひじを第三者が屈伸させたとき、歯車のような抵抗がないかを確認し、パーキンソン症状の有無を調べます。

神経心理学検査や画像検査などの各種検査

問診のあとは、必要に応じて神経心理学検査、画像検査、血液・髄液検査を行います。

神経心理学検査

神経心理学検査とは、認知機能がどれくらい低下しているかを知るためのテストです。
日本で広く用いられている検査には、改定長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、MMSE(ミニメンタルステート検査)があります。検査は10項目前後の課題からなっており、その点数によって認知症の程度を判別します。

画像検査

画像検査には、CTやMRIを用いた形態画像検査と、脳血流や代謝などを調べるSPECT・PET検査といった機能画像検査があります。疑われる症状によって、選ばれる画像検査の種類も変わってきます。
認知症の診断に画像検査は不可欠ですが、これだけで認知症を診断することはできません。問診や神経心理学検査などの結果と照らし合わせ、総合的な判断が行われます。

血液・髄液検査

アルツハイマー型認知症が強く疑われる場合でも、血液検査は必ず行われます。認知症の中にはごく少数ではありますが治療可能な症状があり、その種類は正常圧水頭症・甲状腺機能低下症・ビタミン欠乏症など。こういった身体的な疾患を見逃さないよう、血液検査が行われるのです。
髄液検査では、腰の下から髄液を採取し、その中に含まれるアミロイドβやリン酸化タウの量を測定。アルツハイマー型認知症の補助診断として使用します。

引用元

※1 河野和彦 監修「ぜんぶわかる認知症の事典―4大認知症をわかりやすくビジュアル解説」(成美堂出版)(※書籍)

参考文献

河野和彦 監修「ぜんぶわかる認知症の事典―4大認知症をわかりやすくビジュアル解説」(成美堂出版)(※書籍)

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記事監修

日本認知症学会
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