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前頭側頭型認知症
  

【認知症の種類と特徴】
前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症の主な
症状や治療法とは?

数ある認知症の中でも、あまり耳慣れない前頭側頭型認知症。この前頭側頭型認知症とはどのような病気でどんな症状が起こるのかといった、基礎知識についてまとめてみました。治療法や発症リスクについてもチェックしておいてください。

前頭側頭型認知症は脳がどうなっている状態?

前頭側頭型認知症とは、脳の前頭葉と側頭葉前部が変性するタイプの認知症。認知症の中では、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症に次いで多く見られる認知症です。
前頭側頭型認知症の脳では、ピック病という疾患と同様の症状が見られます。ピック病とは、思考や判断を司る前頭葉に萎縮が見られる進行型の認知症で、前頭側頭型認知症の95%以上がこれに相当します。

前頭側頭型認知症の脳では、前頭葉と側頭葉に限定した萎縮が見られます。萎縮のレベルには左右差があり、一般的には優位半球(通常は左半球)のほうに萎縮が強く現れるのが特徴です。
萎縮が起こると脳のひだである脳溝が開き、溝と溝のあいだにある脳回と呼ばれる膨らみが細くなるのも特徴のひとつ。脳回が細くなると先がナイフの刃のように鋭くなるため、ナイフの刃状萎縮と呼ばれています。

また、前頭側頭型認知症では神経細胞内にピック球(ピック小体)と呼ばれる異常構造物が見られるのも特徴です。このピック球は、主成分であるリン酸化したタウたんぱく質が球状に蓄積したもの。前頭側頭型認知症の約半数に出現が確認されますが、ピック球の有無による臨床的な差はありません。

前頭側頭型認知症の典型的な症状は?

理性・感情・計画性など、いわゆる「人間らしさ」を司っているのが脳の前頭葉です。前頭側頭型認知症ではこの前頭葉が障害されるため、人格や行動に大きな変化が現れるのが特徴となっています。
発症の年代は40~50歳代に多く、初期から中期までの経過年数は平均6年。アルツハイマー型認知症より進行が速くなっています。

初期症状

前頭側頭型認知症の初期症状で、もっとも顕著に現れるのが人格障害です。
症状の一例としては、「服装や髪型といった身だしなみに気を使わなくなる」「病院の診察室などから突然立ち去る」「ウソをつく」といった行動。質問に対してマジメに考えなかったり、妙にふざけた態度を取るのも特徴です。
また、善悪の判断がつかなくなり、万引き・暴力・痴漢といった反社会的行動を躊躇なく取ってしまうこともあります。

中期症状

中期になると自分から何かを始めるといった自発性が低下し、言語障害が目立つようになってきます。
相手の言葉をオウム返しにする反響言語や、何度も同じ言葉を繰り返す滞続言語が特徴的です。

末期症状

末期になると、認知機能だけでなく身体機能の低下も見られます。関節がこわばることで運動機能が低下したり、食欲がなくなることによる体重減少などが特徴です。

前頭側頭型認知症の診断方法と治療方法は?

前頭側頭型認知症の診断には、まず問診が行われます。問診では、前頭側頭型認知症の中核症状である人格障害が出ているかどうかを確認。本人だけでなく家族からも話を聞き、日常生活の様子なども診断の材料としていきます。

問診の結果、前頭側頭型認知症が疑われると判断された場合は、CTやMRIを用いた画像検査を行います。
画像検査でチェックするのは、主に脳の萎縮状態。前頭側頭型認知症は前頭葉と側頭葉前部、アルツハイマー型認知症は海馬に萎縮が見られるため、画像検査で区別することができます。
さらに、必要に応じて脳血流を調べるSPECTや、代謝の低下を調べるPET検査が行い、総合的に診断していきます。

前頭側頭型認知症の治療は薬物療法が中心ですが、症状の改善や進行を抑制するような薬は今のところ開発されていません。近年では、抗うつ薬のSSRIが衝動や感情を抑えられなくなる脱抑制や、同じ行動を繰り返す常同行動に有効であるとされていますが、十分なエビデンス(科学的根拠)は得られていません。
そのため薬物療法に頼りきりになるのではなく、病気の特徴をしっかりと理解したうえで、適切なケアやリハビリテーションを続けていくことが重要となります。

前頭側頭型認知症が発症する主なリスク要因は?

前頭葉・側頭葉前部の萎縮によって起こる前頭側頭型認知症ですが、なぜ脳の萎縮が起こるのか…といった原因や発症リスクについては、現在でもハッキリしていません。
しかし、前頭側頭型認知症は反社会的行動といった行動の変化が大きな特徴です。初期のころから性格の変化や異常行動によるトラブルを起こすことも少なくないため、早期発見・早期治療が重要となってきます。

アルツハイマーをはじめとする他の認知症と違い、前頭側頭型認知症の発症年齢は40~50歳代と比較的若く、進行速度が速いのが特徴です。気になる症状が見られるのに、「まだ認知症を心配するような年齢ではない」などとスルーしてしまうと、あっという間に症状が進行してしまうこともあります。

前頭側頭型認知症は、人格の変化や反社会的行動が初期から強く現れるため、介護にもっとも難儀するタイプの認知症です。何かしらの変化に気づいた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。もの忘れ外来・メモリー外来といった認知症の専門外来のほか、普段お世話になっているかかりつけ医、地元の地域包括支援センターなどでも相談が可能です。
もし本人が受診を渋る場合は、家族だけで相談に行くこともできます。

参考文献

公益財団法人 長寿科学振興財団(https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ninchishou/zentou-sokutou.html)

探しっくす(https://www.sagasix.jp/column/dementia/zentosokuto/)

NHK健康チャンネル(https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_957.html)

河野和彦 監修「ぜんぶわかる認知症の事典―4大認知症をわかりやすくビジュアル解説」(成美堂出版)(※書籍)

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記事監修

日本認知症学会
名誉会員
本間 昭 医師

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