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嗜銀顆粒性認知症
  

【認知症の種類と特徴】
嗜銀顆粒性認知症

嗜銀顆粒性認知症の
主な症状や治療法とは?

嗜銀顆粒性認知症(しぎんかりゅうせいにんちしょう:Argyrophilic Grain Dementia)は「AGD」とも呼ばれている認知症です。認知症の種類のひとつですが、あまり耳にしたことがない人も多いのではないでしょうか。この記事では、嗜銀顆粒性認知症の特徴や発症のメカニズム、発症した場合にあらわれる症状、診断方法や治療方法について紹介しています。

嗜銀顆粒性認知症の特徴

嗜銀顆粒性認知症とは、どのような特徴がある認知症なのでしょうか。ここでは、嗜銀顆粒性認知症が持つ特徴を3点ご紹介します。

嗜銀顆粒と呼ばれる物質によって発症

嗜銀顆粒性認知症は、「嗜銀顆粒(しぎんかりゅう)」と呼ばれる物質が脳神経細胞に蓄積して発症します。この嗜銀顆粒性は、ドイツの神経学者であるブラーク夫妻が認知症患者の剖検脳(病理解剖)を行ったことにより1987年に発見され、報告が行われたものです。この「嗜銀顆粒」という名前は、銀染色によって物質が紡錘型(円柱状で中ほどが太く、両端が次第に細くなっていくという形状)、コンマ状に描き出されたことから命名されました。

臨床診断が難しい認知症のひとつ

認知症にはアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、血管性認知症など非常に多くの種類があることが知られています。その中でも嗜銀顆粒性認知症は臨床診断が難しい認知症であり、あくまでも確定診断は病理診断を行わない限り困難と考えられています。認知症患者の5〜10%がこの嗜銀顆粒性認知症であるとされていますが、診断が困難であることから、ほかの認知症と診断されているケースも多いと言われています。

診断が難しい認知症ではあるものの、あらわれる症状や内側側頭葉の萎縮、血流低下に左右差があることが、嗜銀顆粒性認知症を疑うきっかけになるとされています。

高齢期に発症する傾向がある

嗜銀顆粒性認知症は、頑固や易怒性、被害妄想、性格変化などの人格的変化が見られることがあります。このような症状は、嗜銀顆粒性認知症のほかにも、同様に側頭葉にたんぱく物質が蓄積してしまうことが原因の「前頭側頭型認知症」でも起きる症状です。

しかし、嗜銀顆粒性認知症と前頭側頭型認知症の違いは発症する年齢です。前頭側頭型認知症は比較的若い年代でも発症するケースがありますが、嗜銀顆粒性認知症は60〜80代の高齢期に多く発症する傾向があり、アルツハイマー型認知症よりも発症する時期が遅いと言われています。

嗜銀顆粒性認知症の症状

嗜銀顆粒性認知症を発症した場合、どのような症状があらわれてくるのでしょうか。下記に主な症状をまとめているので、順に確認していきましょう。

新しい体験を覚える能力の低下

高齢で発症し、まずは新しく体験したことを覚える能力(記銘力)の障害が目立つようになります。そのため、新たにものを覚えられない、という症状が目立つようになりますが、その進行は緩やかであることが多いとされています。

さらに、頑固になる、怒りっぽくなる(易怒性)、被害妄想があらわれる、これまでと性格が変わる、暴力行動などの行動・心理症状が見られるようになりますが、続いて妄想や情動不安などもあらわれるようになります。

このように嗜銀顆粒性認知症を発症すると、周囲への配慮を欠いた自己中心的な行動が目立つようになることがあります。これは嗜銀顆粒が蓄積した部位である辺縁系の症状を反映しているためだと考えられています。

認知機能障害は比較的軽度

一般的に、嗜銀顆粒性認知症はアルツハイマー病と似た症状を示すとされています。しかし認知機能障害については、早期から自立度の低下が見られるアルツハイマー型認知症とは対照的であると考えられています。

嗜銀顆粒性認知症では、新しい体験を覚える能力の低下が目立つものの、記憶・思考・理解・計算・学習・言語・判断など知的な能力に障害をもたらす「認知機能障害」は比較的軽度である場合が多いとされています。そのため、発症した場合でも日常生活においては自立性を保つことができている例が多いという報告もあります。

嗜銀顆粒性認知症の発症原因

嗜銀顆粒性認知症は、嗜銀顆粒と呼ばれている物質が海馬や扁桃体などの内側側頭葉に蓄積することで発症する認知症です。嗜銀顆粒とは、タウたんぱく質(中枢神経に豊富に存在しているたんぱく質)が異常蓄積した物質の一種。嗜銀顆粒性認知症のほか、アルツハイマー病や神経原線維変化型認知症の場合にも、嗜銀顆粒がしばしばみられます。しかし、このようにタンパク質が蓄積してしまう原因はまだわかっていません。

嗜銀顆粒性認知症では、この嗜銀顆粒が迂回回(扁桃体-側頭葉移行部)に集中する傾向が高頻度でみられます。さらに画像検査を行ってみると、脳内で左右非対称の萎縮が確認できるのも特徴のひとつとなっています。

嗜銀顆粒性認知症への対処方法

嗜銀顆粒性認知症の疑いを持った場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。ここでは、嗜銀顆粒性認知症の診断方法や治療方法についてご紹介します。

検査・診断

嗜銀顆粒性認知症を診断するためには、CTやMRIなどの画像診断や、SPECTと呼ばれる体内に放射性医薬品を投入し、薬の放射線反応を測定する機能画像検査が用いられます。

ただし、嗜銀顆粒性認知症は診断が非常に難しく、現時点では確定診断を行うには病理診断を行わないと困難であるとされています。さらに、高齢になってから発症するケースが非常に多く、この場合はアミロイドβやタウ、α-シヌクレイン、血管障害といったさまざまな病理が合併している可能性もあり、より臨床診断が難しくなっていると考えられています。

そのため医療機関では、アルツハイマー型認知症などの認知症と経過が異なる高齢で発症した認知症の場合は、嗜銀顆粒性認知症の可能性を念頭に入れて診察をしていくのが良いとされています。

治療

嗜銀顆粒性認知症に特化した治療方法というものはなく、アルツハイマー型認知症に準じた治療が行われます。ただし、コリンエステラーゼ阻害薬(アリセプトなど)を投与しても、アルツハイマー型認知症やレビー小体認知症ほどの効果は期待できないというのが現状です。

そのため、嗜銀顆粒性認知症の疑いがある場合でも、アルツハイマー型認知症を含むほかの症状と合併している可能性を想定し、治療を行っていくことになります。

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記事監修

日本認知症学会
名誉会員
本間 昭 医師

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