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今日からできる認知症予防
毎日続けたい『食事』習慣

認知症予防につながる
食事習慣とは?

認知症を予防するためにまず行いたいことのひとつが、食習慣の改善です。でも、なぜ食事が認知症予防に効果的なのでしょうか?また、どのような食事が認知症予防につながるのでしょうか。日本認知症学会理事の本間昭先生に監修いただきました。

この記事の監修医

本間昭医師

本間 昭 先生

医学博士。専門は認知症、アルツハイマー、老年精神医学。
お多福もの忘れクリニック院長。NPO法人認知症ケア研究所代表理事。日本認知症学会名誉会員。日本認知症ケア学会理事。
※よりくわしい監修者情報はこちら>>
お多福もの忘れクリニック所在地:茨城県水戸市酒門町 4637-2
問い合わせメールアドレス:info@monowasure.net
お多福もの忘れクリニック 公式HPはこちら>>

認知症予防で最も重要なことは
「食事習慣の改善」!

認知症は「生活習慣病」?
アルツハイマー病は
「脳の糖尿病」??

いきなり少し難しい話で申し訳ないのですが、『認知症と食事には、なぜ深い関係があるか』についてお話しますね。
医師の中には、“認知症は「生活習慣病」の一種である”、という先生もいます。たしかに、生活習慣と認知症は切っても切れない関係にあります。

高血圧や糖尿病などの生活習慣病が、血管性認知症やアルツハイマー病の発症リスクをあげることや、偏食や運動不足によるメタボ、不規則な生活、喫煙、飲酒などの生活習慣が認知症の発症に関わっていること。また、食事や運動などの生活習慣改善が、認知症予防にも効果があることなどが明らかになっています。

中でも、認知症の一種であるアルツハイマー型認知症は、「脳の糖尿病」とも言われる病気です。
国内外で、血糖値と認知症の関係が研究されているのですが、近年では、糖尿病の人ほど物忘れが起こりやすいという研究データが注目されています。また、糖尿病と診断された人だけでなく、「血糖値が高め」の人にも記憶力の低下といった症状が見られることが分かり、高血糖が認知症のリスクを引き上げることが明らかになってきました。

メタボのイメージ

「高血糖」が
認知症リスクを引き上げる原因に…

人が食事をすると、摂取された炭水化物がブドウ糖に変換され、血液中のブドウ糖量(血糖)が増加します。このブドウ糖は細胞のエネルギー源となるのですが、細胞がブドウ糖を取り込むときに必要となるのが、インスリンというホルモンです。
しかし糖尿病になると、インスリンの働きが十分に発揮されなくなり、血液中のブドウ糖を細胞に取り込んだり、エネルギーとして消費しにくくなります。この状態を『インスリン抵抗性』と呼びます。

インスリンは、血糖値を下げる働きだけでなく、海馬(記憶を司る脳の一部)が必要とする糖分を取り込み、記憶力を高める役割も果たしてくれている大切なホルモン。
ですが、インスリン抵抗性の状態になると、海馬が十分な糖分を取り込めなくなり、記憶力や認知機能の低下が見られるようになってしまうのです。

さらに、インスリンがうまく作用できない状態だと、アルツハイマー型認知症の原因物質とされる『アミロイドβ』というたんぱく質の排出が滞り、脳に蓄積されてしまいます。これが、アルツハイマー型認知症につながるとも考えられています。
このような理由から、認知症は「脳の糖尿病」であると言われているのです。

糖尿病の人、血糖値の高い人が必ず認知症になるわけではありません。しかし、そのリスクはやはり高めです。
糖尿病が認知症の発症リスクを引き上げるということは、糖尿病になりにくい生活が重要になってきます。その中でも最も重要な対策が、食習慣の見直しなのです。

認知症予防で必須なのは、
健康的な食生活

認知症と食事の関連性についての研究は、現在も国内外で続けられています。中でも、大規模な疫学検査の結果から、認知症予防効果が高いとされる食生活が分かってきました。

現在世界的に知られているのは、アルツハイマー型認知症の予防効果が高いとされる「マインド食」。これは、野菜・ナッツ類・魚・ベリー類・オリーブオイルなどを中心とした食事法です。

また、日本の福岡県糟屋郡久山町(人口約8,400人)の住民を対象とした疫学研究「久山町研究」の結果に基づく食事方法も有名で、こちらは多めの大豆製品・海藻類・野菜・乳製品に少なめの白米など、和食中心の食事法。
どちらの食事法においても、バランスのよい食事内容が特徴的です。

『バランスのよい食事』とは、ミネラルやビタミン豊富な野菜・海藻、魚などの良質なたんぱく質を積極的に取り入れ、炭水化物・糖分・塩分を控えめにした食事のこと
こうした食生活は、認知症の原因となる糖尿病・高血圧といった生活習慣病の予防にもつながります。

ちなみに、「この食品や栄養素を摂っていれば認知症にはならない」といった便利な食材は、残念ながらまだ発見されていません。テレビや雑誌などで『認知症予防にはコレ!』と紹介されるような食材や栄養素だけを偏って摂り続けるのではなく、健康によいとされる食材を少しずつでもバランスよく食べることが大切ですよ。

知ってる?注目ニュース!

食習慣の改善とセットで行いたい「認知症予防」。
認知症にならないために始めたい“新習慣”とは?

認知症予防のために、と食生活の改善を一生懸命行っても、果たしてその対策が本当に認知機能の低下抑制効果につながっているのか、自分では判断しづらいですよね。

「認知症は一度なってしまったら治らない怖い病気」と思われがちですが、認知症の発症理由や、認知機能が低下した原因によっては、改善することは可能です。
また、そうした原因ではない発症の場合でも、すぐに気づいて医療機関で診断・治療を行えば、症状を改善することも出来る
ケースがあります。
しかし、多くの方の場合が、生活にやや支障が出始めた頃に初めて受診をされます。その頃には、認知症がかなり進行しているケースも多いのです。
つまり、早期発見・早期受診が、認知症予防対策の肝なのですね。

ですが、そうは言ってもなかなか「今、認知機能が低下してきた!」と気づくことは難しい。セルフチェックが出来るサービスは色々な種類がありますが、その中のひとつとして最近注目されているのが、脳の認知機能を定期チェックする検査です。

クレディセゾングループの脳活性総合研究所が開発した「脳検」は、自身の認知機能を定期的にチェックできる専門の検査サービス。
定期的に受検することで、脳の健康状態を常に把握することが出来る優れものです。
スマートフォンやパソコン、タブレットから好きなときに受検ができる点も便利です。なにより、この定期チェックを受けていれば、万が一認知機能が下がってきてもすぐに気づくことができるため、早期の医療機関受診が叶うのです。

脳検は1か月(30日間)無料で体験できます。期間内ならいつでもキャンセル可能で、終了3日前にはメールでお知らせ。継続時は半年間受検し放題で6,980円(税別)です。

日々の食習慣を改善しながら、認知機能の状態も同時に定期チェックしていく、「対策効果がきちんとわかる認知症予防行動」が、おすすめです。

認知症を予防する「食習慣」

糖質・塩分の取りすぎに注意!

認知症予防のために、せっかくバランスの良い食事を心がけても、ひとつひとつの味付けが濃すぎると、塩分・糖分を摂り過ぎてしまい、結果的に健康にも悪影響となってしまいます。とくに和食は、バランスのよい食生活には有効なのですが、同時に塩分・糖分もついつい摂りすぎてしまう傾向にあるので、注意しましょう。

まずは塩分です。塩分を過剰に摂取すると、血中のナトリウム濃度が上昇してしまい、これを一定に保つために血液中にたくさんの水分が取り込まれることになります。すると、血液の体積が増えて血管に必要以上の圧力がかかるようになり、高血圧につながるのです。

そして糖分。糖分というと、砂糖はもちろんなのですが、気をつけるべきは砂糖だけではありません。
食物繊維と糖質でできている、米やパンといった炭水化物も含まれます。糖質は脳や体のエネルギー源ですが、摂り過ぎると余った分が脂肪となって身体に蓄積され、肥満につながります。脂肪が増えるとブドウ糖を分解するインスリンの働きが低下し、糖尿病になりやすくなってしまうのです。

糖尿病・高血圧・肥満といった生活習慣病は、認知症のリスクを高める要因。つまり、塩分や糖質の摂り過ぎを防ぐことは、生活習慣病の予防につながり、同時に認知症の発症リスクを軽減することにもつながるのですね。
濃い味付けに慣れている人は、お出汁や香辛料などをうまく使って塩分控えめを心がけ、ごはんなどの主食は、食事の最後に少量を摂るようにするなどの工夫をしてみましょう。

和食のイメージ

おすすめは和食中心の献立

日本発の「和食」は、ユネスコ無形文化遺産にも登録されるほど、世界的にも注目されている健康食です。この和食が認知症予防にもおすすめであることが、近年の研究によって明らかになってきています。

その裏付けとなるデータのひとつが、茨城県大崎保健所管内の住民を対象に、東北大学が行っている大崎コホート研究です。
この研究では、65歳以上の高齢者1万4,402人を5.7年間にわたって追跡調査。食物繊維を除く39の食品および飲料の主成分分析を行い、その食事パターンを「日本食パターン」「動物性食品パターン」「高乳製品パターン」の3つに分類しました。

日本食パターンでは、“魚・野菜・果物・海草・大豆製品・きのこ・漬物・いも類・緑茶”などを多く摂取しており、動物性食品パターンでは、主に“肉類、魚、揚げもの・天ぷら”などを多く摂取していました。高乳製品パターンでは、“牛乳・乳製品、バター、マーガリン、果物、コーヒー、紅茶”などを多く摂取していました。

3つのパターンをそれぞれ点数化し、4分位によって4グループに分けて認知症発生との関連性を調査したところ、日本食パターンに合致する度合いが高い人ほど、認知症発生リスクが20%低下していたという結果がでました。
一方で、動物性食品パターンと高乳製品パターンには、認知症発生との有意な関連性は見られませんでした。

ちなみに日本食パターンの食材は、シカゴのラッシュ大学メディカルセンターの研究グループが「アルツハイマー型認知症の予防効果が高い」と発表した、「マインド食」でも推奨されている食材です。
マインド食は、オリーブオイル・ナッツ類・パスタ・ワイン・緑黄色野菜をふんだんに取り入れているのが特徴なので、和食にこれらの食材をプラスすると、さらに認知症予防効果が高まるかもしれません。

毎日料理を作ることも、
認知症予防に

料理を作ることには、認知症予防にうれしいメリットがたくさんあります。
まず、自分で料理を作ると、塩分量や糖質量を意識しながら調理ができるため、塩分や糖分の摂りすぎを防ぐこともできます。レストランなどでの外食や、コンビニ・スーパーの総菜といった食事では、味付けや栄養バランスを自由にコントロールすることが難しいため、認知症予防のための食習慣をつけるのであれば、出来るかぎり自炊がおすすめです。

また、“料理を作る”という作業が、段取りや効率を考慮しつつ目的を実現させる「遂行機能」のトレーニングに適しているため、認知症予防にとても役立つという見方もあります。

普段何気なく料理をしていると気づかないかもしれませんが、料理という作業は「食事に使用する食材・調理法などを考える」「必要な素材や器具を揃える」「調理の段取りを考え、効率よく複数の作業を進める」「味を調える」「彩りや見栄えがよいように盛り付ける」といった、遂行機能をフル活用しています。さらに、包丁を使って素材を切ったり、指先を使って包むといった作業も、認知機能を高めるのに好ましい活動と言えます。

一人暮らしの方の場合は、コストパフォーマンスの面から見ても、毎日自炊というのは難しいかもしれませんが、料理を作ること自体は非常に良いことなので、家族等に任せてこれまであまり料理をしてこなかった方は、新しくチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

認知症予防ワンポイントコラム1

サプリメントは
認知症予防に有効?

ドラッグストアや薬局などを見ると、「物忘れの予防に効く」といった効果を謳っているサプリメントを多く見かけます。有名なものに、ハーブの一種であるイチョウ葉エキス(ギンコライドなどの成分が含まれています)があり、これには脳の血流を増やす働きがあると言われていますが、認知症になるリスクを下げる効果がある報告と関連しないという報告があります。

認知症予防効果があるという科学的根拠を持つサプリメントは、現時点ではまだありません。食生活や運動といった生活習慣を見直したほうが、認知症予防効果は期待できると言えるでしょう。

脳の老化を防ぐ食事の方法

血糖値を抑えるには
「食べる順番」が大事

糖尿病を防ぐには糖質の摂り過ぎを防ぐことも重要ですが、血糖値を急上昇させないことも大切です。
血糖値が急上昇すると、それを下げるためのインスリンの分泌量も増加。インスリンには余った糖分を脂肪に変えるという働きもあるため、肥満を招きやすくなるのです。

では、血糖値を上げすぎないようにするにはどうしたらよいのでしょうか。そのカギとなるのが、「食べる順番」です。
食事をするとき、つい白米から食べてしまいがちですが、糖質を最初に摂るのは血糖値を急上昇させるもと。食べる順番は、「野菜などのおかず→魚・肉などのたんぱく質→ごはん」を基本にしてください。

また食材の中には、食後の血糖値上昇をゆるやかにしてくれるお役立ち食材があります。
例えば、食物繊維の多いこんにゃく・キノコ類・海藻類・寒天などがあげられます。こうした食べ物を食事の最初に食べるのも◎。ただ、濃い味付けにするとどうしてもごはんが進んでしまうので、おひたしや酢の物といった、あっさりめの味付けにすると良いですよ。

食べる順2番目は、魚や肉など、たんぱく質のおかず。ゆっくりよく噛んで食べるようにしましょう。この流れで食事のいちばん最後にごはんを食べるようにすると、血糖値の上昇もゆるやかになり、食べすぎも防ぐことができます。

食事風景のイメージ

よく噛んで食べることで、
脳を元気に!

「よく噛んで食べること」が、脳機能と深く関係していることが最近の研究で明らかになってきています。
ゆっくりよく噛んで食べると、歯の根元にある歯根膜という薄い膜が刺激され、歯根膜とつながる三叉神経を通じて脳の中枢へと刺激が伝わっていきます。すると、記憶を司る海馬、思考を司る前頭前野、意欲を司る線条体といった部分が活性化し、記憶力もやる気も高まっていくと言われているのです。
食事のメニューを選ぶときも、噛みごたえのない柔らかいメニューより、野菜・魚・玄米といった、自然と噛む回数が増えるような食材を選ぶとよいでしょう。

そして、よく噛んで食べるには『歯』が何より重要です。歯周病やむし歯などで歯が抜けてしまっていると、十分に噛むことができなくなるため、入れ歯や差し歯を入れて、しっかり噛める状態にしましょう。入れ歯であってもしっかり噛むことができれば、脳に十分な刺激を与えることができます

また、咬み合わせやサイズが合わない入れ歯を使っている人は、歯科医院できちんとメンテナンスをするようにしてください。合わない入れ歯を使っていると十分に噛めないだけでなく、歯ぐきやアゴの骨が痩せる原因にもなってしまいますよ。

日本発の「久山町研究」と、
アメリカ発の「マインド食」

「久山町研究」とは、日本で1961年から続けられている生活習慣病に関する大規模な疫学調査のこと。久山町は福岡県糟屋郡にある人口約8,400人の小さな町ですが、久山町の住民は全国平均とほぼ同じ年齢と職業分布を持っていることが特徴的。
九州大学のグループは、この久山町に住んでいる人々を対象に、脳血管性障害や心臓血管疾患などの疫学調査を実施し、50年以上にわたって有益な調査データを蓄積しています。

この久山町研究では、認知症になりにくい食事パターンについても検討されています。
久山町で認知症のない60~79歳の男女1,006人を17年にわたって追跡調査したところ、大豆や大豆製品・緑黄色野菜・淡色野菜・海藻類・牛乳や乳製品・果物などを多く摂取し、米・アルコールの摂取量が少ない人のほうが、比較的認知症にかかりにくい傾向が報告されています。

もうひとつ、認知症と食習慣の関連性において注目したい研究が、アメリカの「マインド食」です。マインド食とは、英語にするとMIND(Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay)となり、シカゴのラッシュ大学メディカルセンターの研究グループによって発表された食事法です。
こちらは58~98歳の923人の食生活を約5年間にわたって追跡調査したもので、そのうちの144人はアルツハイマー型認知症を発症しましたが、マインド食の15項目のうち平均9.6項目を実行したグループは、平均5.6項目しか実行していないグループに比べて、発症リスクが53%も低かったという結果が出ました。
また、平均7.5項目実行したグループでも35%も発症リスクが低かったことも判っています。

このマインド食は、オリーブオイル・緑黄色野菜・ナッツ類・魚などを多く使う地中海料理と、ミネラル・食物繊維・たんぱく質を増やし、飽和脂肪酸・コレステロールを減らすダッシュ食を組み合わせたもの。
認知症のリスクを下げる効果があるとされていますが、マインド食はアメリカ人を対象としているため、日本人に合った食事法への応用は今も研究が続けられているところです。

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積極的に摂取したい栄養素

魚介類などの「n-3系不飽和脂肪酸」

これからご紹介する「積極的に摂取したい栄養素」は、久山町研究のデータをもとにしたものです。
久山町研究で認知症発症との関連性が報告された「認知症発症率が低かった食事パターン」では、大豆・大豆製品、緑黄色野菜、淡色野菜、藻類、牛乳・乳製品の摂取量が多く、米・アルコールの摂取量が少ないというものでした。

その中でも注目したいのがn-3系不飽和脂肪酸、いわゆるオメガ3脂肪酸です。n-3系不飽和脂肪酸にはサバ・サンマ・アジといった魚介類に多く含まれるDHAやEPA、くるみ・亜麻仁・エゴマなどに含まれるαリノレン酸(ALA)があり、これらn-3系不飽和脂肪酸を多く摂取している人は認知症になりにくい、と言われています。
久山町研究でも、認知症の発症リスクが低い人は魚を多めに食べていたという結果があるため、積極的に摂取したい栄養素のひとつと言えるでしょう。

魚のイメージ

豆腐や納豆などの
「大豆イソフラボン」

久山町研究で認知症を発症するリスクが低いとされた人は、大豆や大豆製品を多めに取っていたというデータがあります。
大豆・大豆製品と認知症予防の関係性については、まだハッキリとしたメカニズムが解明されたわけではありませんが、大豆に含まれるイソフラボンには、「アルツハイマー型認知症の原因物質とされる“アミロイドβ”というたんぱく質の蓄積を抑える」、という研究結果があります。

大豆を茹でたり蒸したり、煮たりして食べる方法はもちろん、豆腐・納豆・味噌・油揚げ・豆乳など、大豆製品はさまざまにバリエーションがありますので、毎日の食事の中にも取り入れやすいですよね。
認知症予防のためにも、大豆・大豆製品を日々のメニューの中に1~2品ほど意識的に取り入れてみましょう。

野菜・果物などの「ビタミンC・E」

久山町研究で認知症の発症率が低いとされる食事パターンでは、緑黄色野菜・淡色野菜・果物の摂取量が多かったというデータがあります。これらの食材には、老化の原因とされる活性酸素を除去する能力が高い、ビタミンC・ビタミンEが多く含まれています。

ビタミンCを多く含んでいる食材は、例えば赤ピーマン・芽キャベツ・モロヘイヤ・ピーマン・ブロッコリーなどの野菜、レモン・柿・いちご・キウイフルーツなどの果物などがあげられます。ビタミンEは、枝豆・かぼちゃ・ほうれん草・ニラといった野菜に多く含まれていますよ。
活性酸素の除去はもちろんですが、満腹感を促して糖質の取り過ぎを防ぎ、バランスのよい食生活を送るためにも、野菜・果物は必要不可欠な食材と言えます。

野菜と果物イメージ

乳製品などの「カルシウム」

久山町研究では、牛乳・乳製品の摂取量と認知症の関係性も注目されています。年齢・性別の影響を除いて認知症の発症リスクを分析したところ、牛乳・乳製品の摂取量が多いほど、すべての認知症の発症率が低くなることが分かったのです。

さらに、高血圧といった認知症の発症リスクを高める要因を排除して分析したところ、牛乳・乳製品の摂取量が増えるにつれて、アルツハイマー型認知症の発症率だけが低下することも分かりました。これは、認知症予防効果が期待されるカルシウムマグネシウムがしっかりと補給されたためであると推測されています。

一方、『大崎国保コホート研究』の結果では、“牛乳や乳製品を多量に摂取する「高乳製品パターン」の食習慣を行っていた人たちには認知症発生リスクが低下した傾向は見られなかった”とされています。
相反する結果ですが、久山町研究と大崎コホート研究の結果を考えると、和食を中心とする食習慣を持つ日本人は、牛乳・乳製品の摂取量、およびカルシウム摂取量が、牛乳・乳製品を日常的に多量摂取する欧州人などと比較して非常に少ないため、日本人においては適量の牛乳・乳製品の摂取が望ましい、と推測されています。

食事で認知症予防を目指すなら、塩分・糖質控えめな和食にコップ一杯の牛乳やヨーグルトをプラスしたメニューを心がけてみるとよいでしょう。

積極的に摂りたい
認知症予防に効果的な成分

認知症予防ワンポイントコラム2

歯周病予防が
認知症予防につながる!?

自分の歯をできるだけ残すことは、認知症予防にも大いに関係があるってご存知でしたか? 歯を失う2大原因はむし歯と歯周病ですが、とくに注目したいのは歯周病の原因となる菌の存在です。
近年の研究によると、口の中で増えた歯周病菌が毛細血管に入り込んで脳まで行き届くと、アルツハイマー型認知症の原因であるアミロイドβが増える可能性があると言われています。
また、記憶を司る海馬の神経細胞にダメージを与え、アルツハイマー型認知症の発症や悪化に影響を与えるとも考えられています。

これはまだ仮説であり、科学的な根拠はないのですが、「歯周病が認知症のリスクを高めるかもしれないから、日々の中で歯周病を予防したほうがいい」…ということは、意識しておいて損はありません。
歯周病を予防して自分の歯を1本でも多く残し、生涯食事を楽しめるよう、正しいセルフケアと歯科医院での定期検診・メンテナンスを続けるようにしてくださいね。

注意したい食べ物とは

脂身などの「飽和脂肪酸」

認知症を予防するために注意してほしい成分のひとつに、肉の脂身などに多く含まれる飽和脂肪酸があります。
脂肪の構成要素である脂肪酸には大きく分けて、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があり、体内のコレステロールを増やしやすいのは飽和脂肪酸、逆に減らす働きをするのは不飽和脂肪酸となっています。

飽和脂肪酸を取り過ぎると、コレステロールの中でも悪玉とされる「LDLコレステロール」が増え、動脈硬化が促進されてしまいます。その結果、脳梗塞・脳出血といった症状を引き起こす原因にもなり、脳血管性認知症の発症リスクも高めると言われています。そのため、肉類を食べるときはなるべく脂身の少ない肉を選ぶようにするとよいでしょう。
また、飽和脂肪酸の中には化学合成されたトランス脂肪酸も含まれます。トランス脂肪酸の代表である、マーガリンやショートニングの摂取量にも注意が必要です。

赤身肉のイメージ

濃い味付けなどの「塩分」

塩分を過剰に摂取すると血中のナトリウム濃度が上昇し、それを一定に保つために血液中の水分量が増加。その結果、血管に過度な圧力がかかって高血圧を招きます。
また、食事の味付けが濃いと炭水化物、つまり糖質を取り過ぎてしまう傾向もあります。こうなると、高血圧のみならず糖尿病のリスクも高まってしまいます。高血圧も糖尿病も認知症のリスクを高める要因なので、日々の食事ではできるだけ減塩を心がけるようにしましょう。

減塩みそや減塩しょう油といった特別な調味料を利用したり、酢・スパイス・香味野菜といった料理の味を際立たせてくれる食材を上手に取り入れると、塩気がなくても美味しく食べられるようになります。
濃い味付けに慣れていると、最初は薄味を物足りなく感じるかもしれませんが、徐々に味覚を慣らしていきましょう。

お菓子などの「糖」

健康のためには減らしたい、でもなかなか減らせない、ケーキやスナックなどのお菓子に含まれる糖。実は、この糖には中毒性と依存性があると言われています。

脳には、毒物などが入り込まないようにするためのバリア機能があるのですが、糖は脳のエネルギー源となるため、すんなりとこのバリアを通過できます。
糖を摂取すると脳はエンドルフィンという神経伝達物質を分泌しますが、これには多幸感や快感をもたらしてくれるため、なかなかやめられなくなるのです。

それでも糖を摂取し続けると高血糖状態が続き、血糖値を下げるインスリンがうまく働かない状態となり、糖尿病の発症につながりやすくなります。糖尿病は認知症と深い関わりを持つ疾病なので、糖の摂取量には日頃からの注意が必要ですね。

パンケーキイメージ

白米などの「炭水化物」

久山町研究における認知症の発症が少ない食事パターンでは、炭水化物の摂取量が少なめであることが分かっています。
炭水化物は三大栄養素のひとつですが、食物繊維と糖質で構成されています。つまり、食べすぎると糖質の過剰摂取になってしまうのです。

炭水化物の中でも糖質が多いのは、白米・パン・麺類・イモ類で、とくに注意したいのは白米の摂取量。久山町研究では、多めの魚・野菜・大豆製品に少なめの白米、という食事パターンが認知症予防には好ましいという結果が出ています。
ごはんやパンをしっかり食べたい、という場合は、食物繊維やポリフェノールの多い玄米・雑穀米・全粉粒パンといった、茶色っぽい食べ物に置き換えると良いですよ。

日々の食習慣を改善しつつ、同時に市販のチェックツールなどを活用して、認知機能の状態を定期チェックしていくと良いでしょう。
現在のさまざまな予防努力が実を結んでいるのか、それとも対策を再検討したほうが良いのか。客観的なデータとしてわかるので、より効果的な認知症予防が出来るようになります。

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認知症予防ワンポイントコラム3

食事で腸内環境を整えることが認知症予防に貢献する!

腸内環境を整えることは健康によいとされていますが、実は認知症の発症にも関与しています。脳における情報伝達には神経伝達物質が必要ですが、これらの基礎を作り出しているのは腸内細菌だからです。
つまり、腸内環境が乱れると神経伝達物質が不足し、認知症のリスクが高まる可能性があるのです。

腸内環境を改善するには、腸内にいる善玉菌と悪玉菌のバランスを整えることが大切。そのために必要なのが、腸内をキレイにして善玉菌を育ちやすくする食物繊維です。
次に、発酵食品や乳酸菌飲料によって生きた善玉菌を取り入れること。最後に、善玉菌のエサとなるオリゴ糖を摂取することで、腸内環境を整備できます。

ただし、腸内環境は比較的すぐに改善できますが、この環境は数日くらいしか維持できません。腸内環境によくない食事や生活を続けると、またたく間に悪玉菌が優勢になってしまうので気をつけましょう。

認知症と飲酒の気になる関係

少量の飲酒は
むしろ認知症予防に効果的!?

お酒好きな人にとって、アルコールと認知症の関係性は非常に気になるところでしょうが、適量を超えた飲酒は、判断力・集中力といった機能を明らかに低下させます。

厚生労働省が行った、飲酒と認知症についての調査をご紹介します。
調査では350mlの缶ビールを1本とし、飲酒量の違いでどのくらい認知症のリスクが高まるのかを調べました。その結果、お酒をまったく飲まない人の認知症発症リスクを1とすると、一週間の飲酒量が7~13本で約1.5倍、14本以上になると2.5倍近くリスクが高まることが分かったのです。つまり、大量飲酒は認知機能の低下につながると考えられます。

しかし、この調査では、ひとつ意外なことが判明しています。なんと、一週間の飲酒量が1本未満または1~6本程度の人は、お酒をまったく飲まない人よりも認知症のリスクが低いということが分かったのです。お酒をまったく飲まない人が認知症になる危険性を1とした場合、適度な飲酒を続けている人が認知症になる危険性は約0.4と算出されています。

2018年8月1日号の英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)にも、「長期間お酒をまったく飲まない人々は、適度に飲酒をしている人々と比較して、アルツハイマー病やその他の神経変性疾患にかかる確率がおよそ50%高い」という論文が掲載されました。(フランス・パリ・サクレー大学のSeverine Sabia氏らが行った「Whitehall II試験」より)
これらのことから、少量~中等量の飲酒であれば認知症の予防につながる、という可能性が示唆されています。

ただ、ここで注意してほしいのは、「これまでお酒を飲む習慣がなかった人が飲酒をした場合、同じ結果になるとは限らない」ということです。お酒を飲めば認知症を予防できるというわけではないため、をくれぐれも注意してください。

ワインのイメージ

お酒の飲みすぎは
認知症リスクを高めることが判明

少量の飲酒は認知症のリスクを下げる可能性もありますが、大量飲酒は認知症の発症リスクを高めます。

アルコールが引き金となる認知症は、日常的に多量のアルコールを摂取することで起こるもの。ビタミンB1欠乏による栄養障害や、アルコールの飲み過ぎによる脳梗塞といった血管性障害が原因と言われています。
近年の調査では、アルコールを多量摂取し続けると、65歳よりも早い時期から認知症になる可能性が高くなると言われています。フランスで2008~2013年にかけて行われた約100万人を対象とした大規模調査によると、アルコール使用障害に陥っている人は、認知症のリスクが男性で約3.4倍、女性で約3.3倍も高いことが分かりました。

ちなみにアルコールが主原因による認知症の特徴は、以下の通りです。

  • 歩行が不安定になる
  • うつ状態のようにヤル気や意欲がなくなる
  • 興奮しやすくなり、暴力的になる
  • 幻覚が見える
  • 物忘れなどの記憶障害が見られる
  • 自分の置かれている状況を理解できない
  • 衝動的に物を盗むなど、行動の抑制が困難になる

アルコールが発症理由である認知症は、アルツハイマー型認知症などと異なり、徐々に症状が進行していくようなものではありません。いきなり重症化する可能性もあるため、飲酒量が多い人はくれぐれも注意してください。

認知症予防ワンポイントコラム4

1日のアルコール摂取の適量はどれくらい?

厚生労働省が推進している国民健康づくり対策「健康日本21」によると、適度なアルコール摂取量は1日あたり20g程度とされています。この量は、純アルコール換算で20g程度という意味。ただし、個人差も大きいため、ご自身の身体や体調を基に判断してくださいね。
ちなみに世界保健機関(WHO)によると、慢性的な大量飲酒はアルコール換算で1日あたり男性60g、女性40gとなっていますから、意識してみてください。

では、アルコール20g相当のお酒の量とはどれくらいなのでしょうか。アルコール量の計算式は、「お酒の量(ml)×アルコール度数(%)÷100×0.8」で計算できます。この計算式で算出すると、適度な飲酒量の目安が見えてきます。

適度な飲酒量※1

・ビール(アルコール度数5%)
:中ビン1本(約500ml)

・日本酒(アルコール度数15%)
:1合(約180ml)

・焼酎(アルコール度数25%)
:グラス1杯(約100ml)

・ウイスキー(アルコール度数43%)
:ダブル1杯(約60ml)

・ワイン(アルコール度数13%)
:グラス2杯(約200ml)

ただし、適量を守っているからといって毎日飲酒をするのは考えものです。内臓機能を休ませるためにも、週に1~2回は飲酒をしない日を設けましょう。

認知症予防において重要なのは、「運動」と「食事」。どちらも欠かすことはできません。適度に身体を動かす習慣を身に着けつつ、バランスのとれた食生活をを心掛けるようにしましょう。 運動習慣の改善方法については下記ページでくわしく解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

引用元

※1 石井映幸 監修「これでわかる認知症予防」(成美堂出版)(※書籍)

参考文献

厚生労働省「健康日本21」(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-06-002.html)

厚生労働省e-ヘルスネット「アルコール性認知症」 (https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-051.html)

ケアネット「認知症発症に対するアルコール使用障害の影響に関するコホート研究」 (https://www.carenet.com/news/general/carenet/45763)

厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールと認知症」 (https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-007.html)

農林水産省「脂質による健康影響」 (http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou/fat_eikyou.html)

順天堂大学医学部付属順天堂病院 栄養部「脂質異常症の食事療法」 (https://www.juntendo.ac.jp/hospital/support/eiyo/patient/method/syokuji04.html)

日本医療・病院管理学会誌 2016.4「わが国における認知症の実態と予防」 (https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsha/53/2/53_149/_pdf)

National Center for Biotechnology Information「MIND Diet Associated with Reduced Incidence of Alzheimer’s Disease」 (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4532650/)

平成21年9月26日 認知症予防指導者養成講座 資料「食生活と認知症予防」 (http://www.osaka-ganjun.jp/effort/cvd/training/lecture/pdf/discourse20090902.pdf)

農林水産省「食事パターンと循環器疾患に関するエビデンステーブル(研究結果の一覧)」 (http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/evidence/pdf/evidence_eiyo4-1.pdf#search='大崎コホート研究+日本食パターン')

糖尿病ネットワーク「日本食に認知症を予防する効果 認知症を予防するための食事療法」 (https://dm-net.co.jp/calendar/2016/025739.php)

ケアネット「日本食は認知症予防によい:東北大」 (https://www.carenet.com/news/general/carenet/42293)

脳活性総合研究所「脳検(脳活性度定期検査)」(https://www.nouken.jp/)

PubMedCLOUD「アルコール摂取と認知症リスク」(https://pmc.carenet.com/?pmid=30068508&keiro=journal)

櫻井 孝「耐糖能異常と認知症」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/48/2/48_2_107/_pdf/-char/ja[pdf])

横手幸太郎,曽根崎桐子,齋藤 康「生活習慣病と脳皮質下白質病変」(https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/44/3/44_3_325/_pdf/-char/ja[pdf])

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記事監修

日本認知症学会
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本間 昭 医師

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