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車の運転は控えるべき?
  

「軽度認知障害(MCI)」になったら
車の運転は控えるべき?

軽度認知症(MCI)と
診断された家族。
車の運転は辞めさせるべき
でしょうか。

家族が軽度認知障害(MCI)であると診断されたとき、車の運転についてどのような対応を取るべきなのでしょうか。やはり無理やりにでも辞めさせるべきなのでしょうか。
正しい対応や本人への促し方などについて、アドバイスが欲しいです。

このページの回答監修医

小川惇郎医師

小川 惇郎 先生

日本糖尿病学会 糖尿病専門医、 日本内科学会 総合内科専門医
白金台おがわクリニック院長
よりくわしい監修者情報>>
・白金台おがわクリニック所在地:東京都港区白金台3-8-3
・問い合わせ電話番号:03-6447-7081
白金台おがわクリニック 公式HPはこちら>>

安全のためには、YES。
ただMCIと診断された方に車の運転をやめさせることは難しく、理解と工夫が必要です。

女性

認知機能が低下すると、車の運転にも支障が出ますか?

医者

すべての人に支障が出るとは言えませんが、認知症患者による痛ましい事故は起きています。

軽度認知障害(MCI)の症状には個人差があるため、診断されたからといってすべての人が即刻運転をやめるべき(やめさせるべき)…というわけではありません。しかし、認知機能の低下が原因と思われる交通事故が各地で起きているのは事実です。
知らず知らずのうちに軽度認知障害から認知症に移行しているケースもあるので、症状に気づいたら早めに専門医を受診したり、運転を控えるといった対応は検討すべきでしょう。

警視庁の調べによると、65歳以上のドライバーが交通事故を起こす割合は年々増加しているとのこと。
加齢とともに認知機能が低下しはじめると、日常的な生活動作に何かしらの影響が見られますが、そのうちのひとつが車の運転です。カーブを曲がり切れなくて壁やガードレールに車をぶつけたり、ブレーキとアクセルを踏み間違えたり、車庫入れができなくなるといった症状が一例です。

ちなみにこういった症状は本人がもっとも早く気づくのが特徴で、主観的認知機能低下(SCD)と呼ばれています。認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)よりも早い段階で症状が見られるため、「まさか自分が(または家族が)」などと思わないことが大切です。

女性

軽度認知症(MCI)の家族に運転を辞めさせるには、どんな工夫をすれば良いでしょうか。

医者

ご本人の気持ちを理解し、よく話合うことが大切。
無理矢理禁止するのではなく、自動ブレーキ搭載車に代えるなどもひとつ。

改正道路交通法によると、認知機能検査と医師の診察により「認知症である」と判断された場合、免許は取り消しとなります。しかし、軽度認知障害(MCI)の段階では、運転能力に何らかの不安があったとしても、免許取り消しにはなりません。
ただ、安全のためにも家族としては「できれば運転をやめてもらいたい」と思いますよね。

「認知機能に不安があるから、免許を返納したら?」と本人に伝えても、それを素直に受けて入れてくれるとは限りません。長年車の運転を続けてきた人にとって、運転能力を否定されることは自分を否定されるのと同じことなのです。「交通事故を起こしたことなどないから大丈夫」「車の運転には自信がある」などと、提案を突っぱねるケースもしばしばです。

こういった場合、ムリに運転をやめさせるのではなく、まず自動ブレーキ搭載の車に変えてみたり、急発進防止の装置をあらかじめつけるといった工夫をしてみましょう。かかりつけ医に相談し、運転を控えるようにと話してもらうのも一案です。
本人の同意がないまま免許を返納したり、車のカギを隠すといった対応はプライドを傷つけることになるので、控えるようにしましょう。

女性

高齢の家族の運転でヒヤッとすることがあります。認知症かも?と感じるのですが、病院にいくべきでしょうか。

医者

警視庁が作成した「運転時認知障害早期発見チェックリスト30」を試してみましょう。5項目以上チェックが入るなら、専門機関の受診を。

家族の運転に不安を感じることがあれば、まず警視庁がまとめた「運転時認知障害早期発見チェックリスト30」を試してみましょう。このチェックリストには、車の運転時に現れやすい軽度認知障害・認知症の症状がリストアップされています。
30問中5問以上が当てはまった場合は要注意とされているため、専門の病院で相談・検査などを受けるようにしましょう。5問以下だったとしても定期的にチェックし、チェック項目が増えることがあれば受診を検討してみてください。

運転時認知障害早期発見チェックリスト30(※1

  1. 車のキーや免許証などを探し回ることがある。
  2. 今までできていたカーステレオやカーナビの操作ができなくなった。
  3. トリップメーターの戻し方や時計の合わせ方がわからなくなった。
  4. 機器や装置(アクセル、ブレーキ、ウインカーなど)の名前を思い出せないことがある。
  5. 道路標識の意味が思い出せないことがある。
  6. スーパーなどの駐車場で自分の車を停めた位置が分からなくなることがある。
  7. 何度も行っている場所への道順がすぐに思い出せないことがある。
  8. 運転している途中で行き先を忘れてしまったことがある。
  9. 良く通る道なのに曲がる場所を間違えることがある。
  10. 車で出かけたのに他の交通手段で帰ってきたことがある。
  11. 運転中にバックミラー(ルーム、サイド)をあまり見なくなった。
  12. アクセルとブレーキを間違えることがある。
  13. 曲がる際にウインカーを出し忘れることがある。
  14. 反対車線を走ってしまった(走りそうになった)。
  15. 右折時に対向車の速度と距離の感覚がつかみにくくなった。
  16. 気がつくと自分が先頭を走っていて、後ろに車列が連なっていることがよくある。
  17. 車間距離を一定に保つことが苦手になった。
  18. 高速道路を利用することが怖く(苦手に)なった。
  19. 合流が怖く(苦手に)なった。
  20. 車庫入れで壁やフェンスに車体をこすることが増えた。
  21. 駐車場所のラインや、枠内に合わせて車を停めることが難しくなった。
  22. 日時を間違えて目的地に行くことが多くなった。
  23. 急発進や急ブレーキ、急ハンドルなど、運転が荒くなった(と言われるようになった)。
  24. 交差点での右左折時に歩行者や自転車が急に現れて驚くことが多くなった。
  25. 運転している時にミスをしたり危険な目にあったりすると頭の中が真っ白になる。
  26. 好きだったドライブに行く回数が減った。
  27. 同乗者と会話しながらの運転がしづらくなった。
  28. 以前ほど車の汚れが気にならず、あまり洗車をしなくなった。
  29. 運転自体に興味がなくなった。
  30. 運転すると妙に疲れるようになった。
女性

認知症と診断された場合でも、運転免許の更新はできますか?

医者

道路交通法に基づき、認知症の恐れがある(第1分類)と判明したときには、免許は取り消し・停止されます。

平成29年3月に改正された道路交通法に基づき、運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上のドライバーは、高齢者講習の前に認知機能検査を受ける必要があります。
この認知機能検査は記憶力や判断力を測定するための検査で、所要時間は約30分。100点満点となっており、点数によって3分類に分けられています。

第1分類 0点から49点:認知症のおそれあり
第2分類 49点以上から76点未満:認知機能低下のおそれ
第3分類 76点以上から100点:認知機能低下のおそれなし

ちなみに認知機能検査の点数に関わらず免許更新の手続きは可能ですが、第1分類に判定された場合は、医師による診断と診断書の提出が義務付けられています。そこで医師による診断結果が認知症であった場合、運転免許は取り消しとなります。
ちなみに診断書の提出により免許取り消しとなった場合は、自主返納の手続きはできないことになっています。バスやタクシーの費用軽減といった自主返納のメリットを享受できなくなるため、第1分類と判定された時点で自主返納を検討したほうがよいでしょう。

先生の答えを聞いた質問者さんは…

認知機能の低下を感じたら、運転なしでも快適に暮らす方法を考えていくタイミングかも。

認知機能の低下は、本人が思う以上に交通事故を引き起こすリスクを高め、自分や家族だけでなく他人を巻き込んでしまうおそれがあることが分かりました。
運転は楽しいですし、生活にも必要なので、本当はいつまでも続けたいですが、不安のある症状が出てきたなら、運転をせずとも快適に暮らすための方法をいろいろと考えていくべきタイミングなんですね。

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記事監修

日本認知症学会
名誉会員
本間 昭 医師

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