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認知症が治る治療薬はありますか?

知っておきたい
認知症治療薬のいま

医療の進歩が目覚ましい現代ですが、認知症もまた、薬によって治るということは期待できるのでしょうか?認知症とその治療薬の種類、それぞれの薬の目的や服用時の注意点、新薬についてなど、認知症に関する薬について教えてください。

このページの回答監修医

菅原道仁医師

菅原 道仁 先生

日本脳神経外科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医
菅原脳神経外科クリニック院長
よりくわしい監修者情報>>
・菅原脳神経外科クリニック所在地:
東京都八王子市万町175-1 八王子クリニックビレッジ内
・問い合わせ電話番号:042-622-3000
菅原脳神経外科クリニック 公式HPはこちら>>

認知症が「治る」薬は、まだ開発されていません。
しかし、研究は進み、「進行を遅らせる」薬は発表されました。

女性

認知症に効果のある治療薬とは、どんな薬ですか?

医者

2019年現在の日本では、認知機能改善薬が3剤、神経細胞を保護する薬が1剤、認可されています。

これまでは認知症の進行を抑制する薬はなく、妄想・幻覚・徘徊といった周辺症状を抑える薬を処方する程度でした。しかし、世界で初めての認知症機能改善薬「ドネぺジル」が1999年に日本で認可されました。以降、認知症の治療薬は飛躍的な進化を遂げています。

そして2019年の現在、日本国内では認知機能改善薬が3剤、神経細胞を保護する薬が1剤認可されている状態です。
それぞれの薬剤には、認知機能改善薬ドネペジル・リバスチグミン・ガランタミン、神経保護薬にはメマンチンがあります。

認知機能改善薬は、コリンエステラーゼ阻害薬とも呼ばれるものです。認知症患者の脳ではアセチルコリンという神経伝達物質の減少が見られますが、コリンエステラーゼ阻害薬はそのアセチルコリンが分解されるのを防ぐ働きがあります。

神経保護薬はNMDA拮抗薬と呼ばれるものです。アルツハイマー型認知症の脳では記憶・学習に関与するグルタミン酸が過剰に活性化し、神経細胞を傷つけています。NMDA拮抗薬はそのグルタミン酸の活動を抑え、脳の神経細胞を保護する働きがあります。

女性

認知機能改善薬の4剤はどう違いますか?

医者

認知機能改善薬4剤の特徴をまとめ、比較しました。

日本で使用できる認知機能改善薬4剤について、特徴をまとめてみました。
それぞれの薬剤は症状・重症度・内臓機能・服薬管理の状況に応じて、専門医が処方薬を判断・選択します。

ドネペジル(主な商品名:アリセプト)

適応症 軽度から高度のアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症
作用のしくみ(作用機序) アセチルコリンエステラーゼ阻害
薬成分の血中濃度が半減するまでの時間(半減期) 70~80時間
薬の形状 錠剤、細粒、口腔内崩壊錠、内用ゼリー

※レビー小体型認知症に適応が認められているのは、先発薬のアリセプトのみとなっています。後発薬(ジェネリック医薬品)は使用できません。

リバスチグミン(主な商品名:リバスタッチ、イクセロン)

適応症 軽度および中等度のアルツハイマー型認知症
作用のしくみ(作用機序) アセチルコリンエステラーゼおよびプチルコリンエステラーゼ阻害
薬成分の血中濃度が半減するまでの時間(半減期) 2~3時間
薬の形状 パッチ剤(貼付剤)

ガランタミン(主な商品名:レミニール)

適応症 軽度および中等度のアルツハイマー型認知症
作用のしくみ(作用機序) アセチルコリンエステラーゼおよびニコチン性アセチルコリン受容体へのAPL作用
薬成分の血中濃度が半減するまでの時間(半減期) 8~9時間
薬の形状 錠剤、口腔内崩壊錠、内用液

メマンチン(主な商品名:メマリー)

適応症 中等度および高度のアルツハイマー型認知症
作用のしくみ(作用機序) NMDA受容体チャンネル阻害
薬成分の血中濃度が半減するまでの時間(半減期) 70時間
薬の形状 錠剤
女性

認知症の薬物治療の目的は何ですか?

医者

認知機能低下の進行を抑えることが主目的です。

認知症の薬物治療は、「認知症治療ガイドライン」などに基づいて行われます。薬物治療の主な目的は、認知症の中核症状(記憶障害、見当識障害、失認・失行・失語、実行機能障害、判断力障害、性格の変化)の進行抑制。また、介護者の負担が大きくなる周辺症状の改善も重要な目的のひとつです。
認知症に対する薬剤は、コリンエステラーゼ阻害薬と神経保護薬の2種類がありどちらか1種類から開始するのが一般的。併用することで症状の進行を抑える効果が高まるという試験結果もあることから、2種類を同時に使うこともあります。

周辺症状には、中枢神経に作用する向精神薬を用います。周辺症状は行動症状と心理症状に分けられますが、徘徊・暴言・無反応といった行動症状には非定型抗精神病薬、定型抗精神病薬、抗てんかん薬、抑肝散という漢方薬などが用いられます。
一方、うつ・アパシー・不安・妄想・幻覚といった心理症状に対しては行動症状と同じく非定型抗精神病薬、定型抗精神病薬、さらに抗不安薬、抗うつ薬を用いて症状の抑制・改善を目指します。

ちなみに非定型抗精神病薬は比較的新しい抗精神病薬となっていますが、認知症治療の保険適用外となり、少なからず副作用も報告されています。

女性

認知症に関する薬に関して、注意点はありますか?

医者

薬の副作用についても良く確認し、十分な効果がなければ、医師に相談しながら、中止や変更も検討を。

認知症の治療薬を使うのは、主に高齢の患者です。人は高齢になると薬物の代謝機能が低下しているうえに、他の病気を治療するために複数の薬を併用することも多くなり、薬の過剰反応や副作用を起こす可能性が高くなります。また、薬の効き方には個人差もあるため、薬物治療に関しては少量の服用からスタートし、ゆっくりと増量していくのが基本となります。
そのうえで、薬の効果を短期間で評価。十分に効果を得られていない…と思われる場合は、種類の変更や中止も検討する必要があります。

薬物治療において、とくに注意を必要とするのは認知機能を低下させやすい薬剤です。なかでも、神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを低下させる「抗コリン作用」をもつ抗精神病薬は、記憶力や注意力の低下、せん妄といった症状を引き起こすことがあります。さらに、転倒など日常生活動作の低下、便秘、排尿障害、口の渇きといった副作用も多く見られます。
こういった副作用はすべての人に現れるワケではなく、万が一副作用が見られたとしても、服用を中止することでもとに戻るのが特徴です。

先生の答えを聞いた質問者さんは…

薬物治療では認知症は完治できないのですね。

認知症の薬物治療は症状の進行を遅らせるものであって、飲んでいれば認知症が治るわけではないことが分かりました。やはり一番重要なのは、認知症にならないための予防ですね。今からバランスのよい食事や運動を心がけ、認知症予防に努めたいと思います。

参考文献

河野和彦 監修「ぜんぶわかる認知症の事典―4大認知症をわかりやすくビジュアル解説」(成美堂出版)(書籍)

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記事監修

日本認知症学会
名誉会員
本間 昭 医師

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