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難聴と認知症

難聴と
認知症発症リスクの関係は?

難聴とは耳の聞こえがよくない状態で、加齢に伴い多くの人に見られるようになる症状です。一見認知症とは何の関係性もなさそうですが、難聴の人はそうでない人に比べて、認知症になるリスクが高いといわれているのです。ここでは、難聴と認知症の関係性や対処法についてまとめてみましたので、ぜひ目を通しておいてください。

難聴と認知症の関係

難聴とは、耳の聞こえが低下している状態のこと。「電話の呼び出し音など、高い音が聞き取りにくい」「低い音が聞き取れない」「片方の耳だけ聞こえが悪い」など、症状の出方や程度は個人によって異なります。これだけ見ると認知症とは何の関係もなさそうな症状ですが、実は深い関係があることがとある研究から明らかになっています。

これは、アメリカのジョン・ホプキンズ大学と国立老化研究所との合同研究です。この研究において調査対象となったのは、アメリカのバルティモア州に住んでいる126人の高齢者。定期的に脳のスキャン・聴覚テストを行いながら10年間にわたって調査をしたところ、難聴が見られる人はそうでない人に比べて、脳の萎縮スピードが速いことが分かったのです。

また、難聴の人は音声言語を処理する脳の上側・中側・下側頭回の委縮が顕著であることも報告されています。研究チームによると、この脳の萎縮は「耳が聞こえないこと」が原因となっている可能性が高いということです。

こうした研究から難聴と認知症には関連性があることが示唆されましたが、脳の変化の一因が難聴である場合、その早期発見・早期治療が重要であるとも言われています。定期的に聴覚のチェックをして治療を受ければ、アルツハイマーをはじめとする認知症を防げる可能性が高いということです。耳の聞こえが悪くなったことを「年齢のせいだから」などと放置せず、認知症予防のためにも適切な対処を心がけたいものです。

加齢性難聴はなぜ起こる?その原因とは

加齢性難聴とは、年を取るに伴って起こる難聴のこと。50歳前後で、何らかの自覚症状を訴える人が多くなっています。

加齢性難聴の原因

耳は、外耳・中耳・内耳で構成されており、外耳から入った音は中耳を通り、内耳にある蝸牛(かぎゅう)という管に伝わります。この蝸牛には約15,000本もの細かい毛(有毛細胞)があり、この毛が音の振動をキャッチして電気信号に変換、脳へとデータを送ります。これが音を聞き取るメカニズムです。

蝸牛の有毛細胞は加齢と共にダメージを受け、壊れてなくなっていくのが特徴。一度壊れてしまった有毛細胞は再生することがないため、徐々に難聴の症状が現れることになります。加齢性難聴は誰にでも起こり得る可能性があるもので、一般的には50歳ごろから症状が出始め、65歳以上で急激に増加。60歳代後半になると3人に1人、75歳以上では7割以上の人が加齢性難聴であるという報告もあります。

加齢性難聴の症状

難聴は、症状の程度によって軽度・中等度・高度・重度に分けられますが、加齢性難聴は軽度~中等度の難聴と言われています。加齢に伴って少しずつ症状が進行するため気づきにくく、一般的には両方の耳が聞こえにくくなるのが特徴です。

加齢性難聴でよく見られる症状のひとつに、テレビの音量が以前よりも大きくなる…というものがあります。いつもより音のボリュームを大きくしないと聞こえない、家族や周辺住民から「テレビの音がうるさい」と言われるようになったら、加齢性難聴の可能性が考えられます。また、高い音が聞き取りにくくなるのも特徴的な症状です。電話の着信音に気づけない、体温計や電子レンジなどの電子音が聞こえない、子どもや女性の話声が聞き取りにくい、といった症状が見られるようであれば、一度耳鼻科で聴覚検査を受けてみるとよいでしょう。

認知症予防のために難聴が気になる人が行いたいこと

加齢性難聴は、加齢以外にとくに原因のない症状ですが、耳が聞こえにくい状態を放置しておくのは考えもの。難聴によって人とのコミュニケーションが減少すると脳へ入ってくる情報が少なくなりますし、家庭や社会から孤立してしまうこともあります。こういった流れが脳機能の低下につながり、認知症を引き起こすのではないかとも考えられているため、難聴への対処は早め早めに行うようにしましょう。

難聴への対応で検討したいのが、補聴器の利用です。加齢性難聴の人で補聴器を利用しているのは1~2割ほどと言われており、ほとんどの人は難聴を放置している状態です。そのままにすると認知症のリスクも高まるので、聴力の低下を感じたら積極的に補聴器の利用を検討してみてください。耳の聞こえがよい状態を取り戻すことは認知症予防だけでなく、QOL(生活の質)の向上にもつながります。

また、今のところ難聴の症状が出ていない人も、日頃からの予防に力を入れましょう。とくに症状を悪化させると言われているのが、糖尿病・高血圧・脂質異常症・動脈硬化といった生活習慣病や、過度な飲酒、喫煙などです。こういった原因を取り除くことは難聴だけでなく認知症予防効果にも期待が持てるので、しっかりと生活習慣を見直してみてください。

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記事監修

日本認知症学会
名誉会員
本間 昭 医師

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