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高血圧と認知症

高血圧と
認知症発症リスクの関係は?

生活習慣病のひとつである高血圧。高齢になればなるほど血圧が高まるケースは多くなっていますが、自覚症状がないからとそれを放置しておくのは認知症予防の観点からもNGです。では、高血圧と認知症にはどのような関係があるのでしょうか。高血圧によって認知症が発症する理由やメカニズムについて、以下にまとめてみました。

高血圧と認知症の関係

高血圧とは

高血圧とは、安静にした状態での血圧が慢性的に高い数値を示す状態。生活習慣病の中でもとくに患者数の多い疾病のひとつで、厚生労働省の患者調査(2017年)によると、高血圧性疾患の総患者数(継続的に治療を受けていると推測される人数)は993万7,000人
前回の調査に比べると約171万人減少はしたものの、患者数の多さには目を見張るものがあります。(※1

高血圧の目安は、日本高血圧学会による「高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)」に示されており、医療機関で測定する血圧(診察室血圧)が140/90mmHg、自宅で測定する血圧(家庭血圧)が135/85mmHgの場合となっています。
正常血圧値(120~129/80mmHg未満)以外の人は、生活習慣の見直し・改善を積極的に行うべきとしています。

高血圧と認知症の関係性

では、高血圧と認知症にはどのような関係があるのでしょうか。まず認知症には大きく分けて2つの種類があります。
ひとつは脳内の血管になんらかの障害が起こることで発症する「脳血管性認知症」、もうひとつは、神経細胞の減少による脳の委縮が要因となる「神経変性性認知症」です。

この2つの認知症のうち、高血圧と深い関係があると言われているのは「脳血管性認知症」。脳梗塞・脳出血といった、脳血管のトラブルをキッカケにして起こる認知症です。
1988~2005年に行われた久山町研究によると、中年期(40~64歳)から老年期(65歳以上)の高血圧は、脳血管性認知症において有意な危険因子であったことが報告されています。この久山町研究における血圧の数値分類は以下の通りです。(※2

  • 正常値:収縮期血圧が120mmHg以下かつ拡張期血圧が80mmHg以下
  • 高血圧前症:収縮期血圧が120~139mmHgまたは拡張期血圧が80~89mmHg
  • ステージ1:収縮期血圧が140~159mmHgまたは拡張期血圧が90~99mmHg
  • ステージ2:収縮期血圧が160mmHg以上または拡張期血圧が100mmHg以上

この分類で正常値の脳血管性認知症の発症リスクを1.0とすると、血圧が高い場合の発症リスクは以下のようになります。

  • 高血圧前症:中年期2.4倍、老年期3.2倍
  • ステージ1:中年期5.9倍、老年期4.7倍
  • ステージ2:中年期10.1倍、老年期7.3倍
  • つまり、血圧が高いことは脳血管性認知症を発症するリスクのひとつとなる、と考えられます。

    高血圧はなぜ起こる?その原因とは

    高血圧になる原因

    高血圧になる原因にはさまざまなものが挙げられますが、とくに関係が深いとされているのは以下の生活習慣です。

    食塩の取りすぎ

    日本人の高血圧の原因として、もっとも大きなものが食塩の取りすぎです。厚生労働省が行った平成29年度の国民健康・栄養調査によると、日本人の食塩摂取量の平均値は9.9g(※3)。
    男女別にみると、男性10.8g・女性9.1gとなっており、これは日本高血圧学会が推奨する1日の食塩摂取量の目安「6g未満」を大きく超えています。食塩の取りすぎは高血圧の原因となるため、日頃からの減塩が重要です。

    肥満傾向

    日本人の中でもとくに男性に多く見られるのが、肥満による高血圧。なかでも内臓脂肪型の肥満は血糖値をコントロールするインスリンの働きを低下させるため、高血圧になりやすくなります。

    体質

    国内の高血圧患者のうち、半数ほどは親から高血圧になりやすい体質を引き継いでいると考えられています。両親はもちろん、祖父母・兄弟姉妹に高血圧の人がいる場合は、血圧管理に気を配りましょう。

    高血圧の症状

    高血圧になっても、自覚症状はほとんど見られません。高度に血圧が上昇した場合は、頭痛・視力の低下・めまい・吐き気・肩こりといった症状が見られることもありますが、それが高血圧によるものなのかを判断するのは難しくなっています。
    高血圧は無症状のまま全身をむしばんでいくサイレントキラーとも呼ばれているので、日頃からの血圧管理を大切にしましょう。

    高血圧の種類

    高血圧には、大きく分けて2つの種類があります。

    本態性高血圧症

    日本人の高血圧の約9割が該当するもので、原因を明確に特定できない高血圧です。塩分の取りすぎや肥満、運動不足、喫煙、体質などが原因と考えられています。

    二次性高血圧

    日本人の高血圧の1割ほどが該当する二次性高血圧は、ホルモン分泌異常・腎疾患・薬の副作用などが原因とされています。原因を取り除くことで、血圧を下げられる可能性があります。

    認知症予防のために、高血圧が気になる人が行いたいこと

    高血圧の人は、知らず知らずのうちに血圧が上がりやすい生活を送っていることがあります。高血圧は認知症とも関わりが深いので、予防のためにも以下のポイントに気をつけてみてください。

    運動の習慣を身につける

    適度な運動には、インスリンの働きをよくして高くなった血圧を下げる効果があります。運動にはさまざまな種類がありますが、高血圧と認知症予防対策として適しているのは有酸素運動です。
    ウォーキング・ジョギング・水泳・エアロビクスといった運動を1日30分程度、連続して行うのが難しいときは1回10分程度の運動を複数回に分けて行いましょう。
    運動強度は軽く息がはずむ程度におさえ、週に3~4回を目安に行うようにします。ただし、高血圧の薬物治療などを受けている人は、自己判断で運動をするのは厳禁です。必ず医師に相談してから行うようにしてください。

    減塩を心がける

    日本人は食塩を取りすぎる傾向にあるため、日々の減塩を心がけましょう。そば・うどん・ラーメンなどの汁は飲み干さない、寿司やてんぷらなどにつける醤油・塩は気持ち控えめにする、出汁や香辛料を活かして塩の量を減らす、といった工夫が効果的です。
    また、外食やコンビニでのメニュー選びにも注意し、塩分の排出を促すミネラル類(カリウム・マグネシウム・カルシウム)を積極的に取り入れるようにしましょう。

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記事監修

日本認知症学会
名誉会員
本間 昭 医師

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